薬剤師(やくざいし、英Pharmacist、Chemist)とは、主に薬剤の取り扱い、薬事業務を司る専門職であり、化学者でもある。
一般に薬剤師として「英Pharmacist」という名称は米国等で用いられ、英国、オーストラリア、ニュージーランドでは伝統的に薬剤師は「英Chemist」と称される。
医師・歯科医師とともに、医療3師(医療系3大専門職)の1つ。
歴史
東洋では古来より「薬」を扱うものは同時に「医」を扱うものとしてあり「薬師如来」としてあるように医師でもあった。
主に日本では漢方を取り扱う「薬師(くすし)」が「医」を扱っていた。
日本の薬剤師
薬剤師法第1条に、調剤・医薬品の供給その他薬事衛生を司る者と定義される。
調剤は薬剤師法第19条により、医師・歯科医師・獣医師が、特別の理由があり、自己の処方箋により自らするときを除き、薬剤師でなければ行うことが出来ない。また、薬事法第17条により、医薬品の製造・販売にあっては薬剤師を置かなければならない。
日本において薬剤師となるには、大学において薬学の正規の課程を修めて卒業した者に受験資格が与えられる薬剤師国家試験に合格し、厚生労働省の薬剤師名簿に登録申請をし、厚生労働大臣による薬剤師免許の発行を得る必要がある。原則として薬学部を卒業しなければ受験資格は与えられない。
国家試験は、厚生労働省医薬食品局監修で、毎年3月末に2日間にわたって行われる。問題は全部で240問あり、その内訳は基礎薬学が60問、衛生薬学が40問、薬事関係法規・制度が20問、医療薬学が120問(薬理学30問、薬剤学30問、病態・臨床薬学60問)である。平成8年より現在の形で行われている。
処方箋による調剤を行う「薬局」のみならず、調剤を行わず、一般医薬品(OTC=over the counter drug)のみを販売する「医薬品一般販売業」においても、薬事に関する実務を行う時間(営業時間)内は、店舗に薬剤師を配置することが薬事法及び「薬局及び一般販売業の薬剤師の員数を定める省令」によって義務付けられている。また、一般販売業における営業時間内の薬剤師の不在という違法事例が頻発したため、1998年に厚生省から禁止を徹底させる局長通知も出ている。但し、ドラッグストアの中には薬剤師不足により作られた「薬種商(やくしゅしょう)」の店舗も多数あり、この場合、店舗に薬剤師は配置されていない事が多い。
製薬メーカーでは、薬事法の規定で工場ごとに薬剤師を置いている。なお、製薬メーカーが医療機関への営業活動の際に商品に関する専門的な説明を行う、医薬情報担当者(MR(旧プロパー))と呼ばれる職種があるが、これは薬剤師でなくても受験資格があり、必ずしも薬剤師であるとは言えず、日本国内では薬剤師MRは少数である。
大学では、薬剤師免許の他に、中学校教員免許(理科)と高等学校教員免許(理科)を取得できるところもあり、薬剤師免許を取得して教員をしている薬剤師もいる。
分野別の薬剤師
保険薬局
保険薬局(ほけんやっきょく)とは薬剤師が健康保険を使い調剤を行っていたり(保険調剤)、大衆薬の販売を行っている薬局のことである。
保険薬局と「薬局」の一種である薬局との大きな違いは、保険薬局が処方せんの受付(保険調剤)を行うことができるという点である。「薬局」の一種である薬局では大衆薬の販売や調剤を行うことはできるが、処方せんを受け付ける(保険調剤)ことはできない。
学校薬剤師
学校薬剤師は、学校における保健管理に関する専門的事項に関し、薬、化学物質、用品管理などを主とする技術及び指導に従事する。大学を除く学校におかれる。学校薬剤師は、薬剤師でなければならない。たいていは、非常勤職員である。
感染制御専門薬剤師
感染制御専門薬剤師(かんせんせいぎょせんもんやくざいし)は、社団法人日本病院薬剤師会が主催する認定試験。2006年に初めて試験が行われ、誕生した資格である。
現代の消毒薬や抗生物質などは、効果が必ず発揮される利点を持つ反面、使用上の注意を守る必要があるが、その種類が多く、その特徴に合わせて使いこなすには、膨大な知識が必要となる。医学や薬学や化学が発展した現代において、感染症の分野だけでも、専門家として把握すべき情報は非常に大きい。このため、感染制御薬剤師は、消毒薬と抗生物質などの専門家として、活躍することが期待されている。
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